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重要無形文化財 本製小千谷縮・越後上布

本製小千谷縮・越後上布と本製製作の試みについて

 西脇商店は創業240年を迎えた平成25年(2013)を期に、本製小千谷縮・越後上布の製作に深く携わり、独自の品質表示を開始しました。その品質表示は国の重要無形文化財指定要件を満たす製作工程の詳細な情報を開示し、「西脇新次郎商店」ブランドとして品質を保証しているものです。
 「西脇新次郎商店」の本製小千谷縮・越後上布は、日本と世界が後世に伝え守るべき技術と認定した織物に相応しい、質の高い製品を丁寧に製作し、品質の更なる向上を目指して参ります。

本製小千谷縮・越後上布

昭和30年(1955)重要無形文化財第一号認定
平成22年(2009)ユネスコ無形文化遺産のリストに
日本の染織品として第1号の登録

 雪国の風土とそこに生きる人々の忍耐と技と英知によって育まれた雪の織物、本製小千谷縮・越後上布は、重要無形文化財の指定要件[1.糸は手績みの苧麻糸によること。2.絣は手くびりによること。3.いざり機(地機)で織ること。4.縮の仕上げは湯もみ、上布は足踏みによること。5.雪さらし。]を満たして製作された織物です。その製作技術が国の重要無形文化財に指定、ユネスコ無形文化遺産として登録されています。
 現在の着尺の製作は年間40反程であり、希少価値の高い夏の最上級の織物です。70以上の手作業の工程を積み重ねて完成する織物は雪上の雪さらしなどの工程において雪国文化の特質を有し、原料から加工技術全般にわたり純粋の古法を伝承して製作しております。この織物は雪の透明な美しさと儚さを映し出し、清涼感溢れる夏着物となります。
 しかしながら、技術者の高齢化が進み、製作反数が減少しているなど伝承には様々な課題を抱えております。その生産は量、質共に数十年前の水準を維持しているとは言い難い状況です。

 本製小千谷縮・越後上布は西脇商店にとって創業以来途切れることなく取扱いを行う大切な織物であります。私どもがこの織物に拘る理由として九代目新次郎の存在があります。昭和28年、存続が危ぶまれていた技術に危機感を持ち、九代目新次郎は重要無形文化財登録の為に先ず技術保存協会を立ち上げました。新潟県庁宮栄二氏や旧小千谷町の内山嘉雄氏をはじめ行政・業界が一体となり、全国に先駆けて登録を働きかけ、行動した先人たちの努力と行動があったからこそ第一号指定は実現しました。昭和25年戦後の混乱期の中で、何を残すべきなのかを選択し、重要無形文化財指定の運動を成し遂げた越後魚沼の先人たちに心より敬意を表します。

 九代目新次郎は、自身の著書の中で「あらゆる手だてを尽して守ろうと思うが、何が何でも生き続けろというのはかえって酷ではないか」と延べています。そして、織物の技術を支える無名の技術者への敬意を常に持ち続けておりました。
 ~「江戸時代からちぢみの仕事にいそしんできた多くの無名の人々、先人の労苦を忍び、讃え、併せてこれらの人々への手向けとして本書を捧げたいのであります」(「越後のちぢみ」より抜粋)~今こそ、その精神に立ち返り、伝統技術を受け継ぎ製作に携わられている無名の技術者やその技術そのものに光をあてることが、次の世代に小千谷縮・越後上布を伝えて行く為に必要なことであると考えます。

 西脇商店は平成25年(2013)に創業240年の節目を迎えるにあたり、もの作りの原点に立ち、何が美しいものなのか、何が優れたものなのかと模索する中で、答えの道標となったのは先々代九代目新次郎の物づくりへの情熱と信念でした。良いものは良い、良いものなら扱うが悪しきものはご免被ると、晩年になっても製作に対し真摯な姿勢を持ち続けておりました。昭和31年重要無形文化財指定直後の本製の年間製作数は21反、その内の8反は製作者西脇新次郎製であると記録されており、本製製作は晩年まで続きました。物づくりに執着する姿を省みて、今尚、今だからこそ叱咤激励される思いでおります。
 民藝運動の「用の美」、柳宗悦氏の「誠実で丹念な仕事であってこそちぢみの貴さ、美しさが生れるのである」という言葉、そして越後縮への深い愛情。それらが司る、もの作りの姿勢を受け継ぎ、昭和30年当時でさえ九代目が伝承の危機を案じた本製小千谷縮・越後上布の技術を伝承する為に、再び本製の製作に携わることを決意致しました。

 西脇商店の製作が真の本製である証しとして独自の品質表示を行っております。その品質表示は国の重要無形文化財指定要件を満たす製作工程の詳細な情報を開示し、「西脇新次郎商店」ブランドとして品質を保証しているものです。
 「西脇新次郎商店」の本製小千谷縮・越後上布は、日本と世界が後世に伝え守るべき技術と認定した織物に相応しい、質の高い製品を丁寧に製作し、品質の更なる向上を目指して参ります。

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